Interview

内定者インタビュー vol.5
医療系修士 アストラゼネカ MR職内定者

研究職を目指していた彼だが、ひょんなアクシデントが起こる。
その際に彼はどう考え、どう行動したか?

自分ならどういう行動をとるだろうか?と考えて読んでみて欲しい。


院か就職か迷ったときには、就活を
―大学院の研究の内容を教えてください。
潰瘍性大腸炎の分子メカニズムの研究です。
すこし専門的な話になりますが、ある病気にかかったときに“有意に発現する分子”を研究することで、その病気に関する診断や治療の役に立つんですよ。病気を医師が診断する際の目印(マーカー)になるのです。
―医療系の研究をされるわけですが、学部4年で就活はしましたか?
していません。理由は2つあって、1つは研究職の募集が学部卒にはなかったこと。
もう1つは、当時の研究内容で忙しく、時間的余裕がなかったことです。
―院か就職か迷っている人もいると思います。そういう人に向けてアドバイスはありますか?
そうですね。医療系の研究をしている学部生の人たちの希望する進路には主に3パターンあって
①院に進みたい
②就職したい
③いい会社に受かれば就職したい
がありますよね。③のように「うまくいけば就職する。うまくいかなければ院に行く」という選択をした人達もいましたが、それもありです。1つの手ですね。
―もし、4年に戻って時間に余裕があるとしたら、就活しますか?
もちろんしますね。大小含め70社ほどあると言われる製薬ですが、会社の雰囲気を知れたり、面接に慣れることは大事です。
例えば、本格的に就活する段階になって、いきなり本命の面接をしなければならない可能性もあるわけで、そういうことを考えると、将来的に就活をするのならば、早めに一度経験しておいて損はないと思いますよ。
「適切な患者さんに、適切な薬を使っていただく手伝いがしたい」
―社風の話がありましたが、社風について教えてください。
本格的にアプライした企業はほんの数社ですから、内定先であるアストラゼネカについて述べますね。
社員さんを見て、社風が自分に合うなとも感じました。ただ特に魅力を感じたのは、会社の重要視するポイントです。ESについて話を訊いたときに、企業に対しどんな価値が提供できるか?ではなく、その企業でどんなことがやりたいか?をききたいということを言われました。
つまり、自分だけでできる範囲を狭めないでくれ、ということです。最近新薬が出て、それを広めたいとかね。そういうのって、新薬が出る会社でしかできないことだから。
―具体的に、志望動機はなんと?
糖尿病の人が身近にいて、自分も他人事ではないぞと。甘いものが好きでも食べられない、これを見ていると辛い。糖尿病だけならまだしも、脳梗塞になって寝たきりになった人もいる。
近いうちに、糖尿病の新薬が出るということで、自分がそういう患者さんたちの力になってあげられたらな、と思ったんです。
―身近に薬を必要とする人がいると。
そうです。その患者さんにとって適切な薬を広められたら、と思います。企業にとっては、その薬を必要としている患者さんが使ってくれること。自分がその力になれたらいいなぁと思っています。
アクシデントを乗り越える
―先ほど研究職志望だったという話がありましたが、未練などはありませんか(笑)。
未練はありますよ(笑)。
当初は研究職、さらに言えば食品業界の研究職を志望していました。食品って誰もが関係するもので、最も人とかかわる部分ですから。ある会社にいたっては、研究所の場所も希望通りだったし、幅広い研究が行われていて興味深く、また社員さんを紹介してもらって話なども聞いていました。
―志望度がとても高かった。
そうです。ただ…ESの〆切がいつの間にか過ぎていた(失笑)。
―えっ。
これには困りました。最も志望度の高かった会社に、ESすら提出できなかったので。
そういった意味で未練というか、残念な気持ちはありました。しかし、その時の自分にとってできることは全てやっていたという自負はありますから、後悔はしていません。
―それも自分の道だと。
そうです。そして、製薬業界で研究職か、もしくはMRか選ぶ段階になって、MRを選びました。
―なぜMR職を?
自分の特性をみつめなおしたとき、営業も向いていると思ったんです。MRはとにかく人との出会いが多い。ドクターはもちろん、薬剤師さん、医薬品卸さんなど大勢と関わり合いながら仕事ができるわけです。それは自分にとって、確かな魅力でした。
―適性で選んだという事ですね。研究職と並行するという手もありますが…?
就職活動と同時に、大学で研究もおこなっていたので、時間的制約がありました。あまり時間をかけられなかったんです。そこで、適性をみてMRに絞ったわけです。
「ピンチでもなんとかなる、なんとかする」
―話は戻りますが、準備って大事ですよね。
そうですね(笑)。たとえば印刷して持っていく資料とか、僕は学校で印刷していたんですが、急なときはネットカフェで印刷していました。そうなるとバタバタしますよね。スケジューリングや事前準備が大事ですね。
―それを踏まえて後輩にアドバイスするとしたら?
ピンチでも、なんとかなります。
―(笑)
なんとかなる、というのは、自分でなんとかするんですよ。
どんなピンチでも、なんとかなる道は残っているはずですから、そこでなんとかする。
―常に大枠でとらえる、ということ。
そうですね。ESを出し忘れてしまったときも、自分には縁がなかったのだと考えるようにしています。実際そう思いますしね。
―ポジティブですね(笑)。
そう、ポジティブです(笑)。だから就活も全体として楽しかったですよ。
「就職活動はチャンス。早くから自分の可能性を偏見で決めるべきではない」
―就活を振り返って、失敗したことは?
個人的には、ありません(笑)。でも、アドバイスするとしたら、早くから絞りすぎるのはやめた方がいいですね。医療系の修士でもコンサルティング業界にすすむ人もいるし、生物系なのにSEになった人もいる。僕は「医薬品・食品・化粧品」を見ていましたが、まだ狭い方だったと思います。
―視野を広く持つということですか?
そうです。1つの業界に絞るのではなく、他の業界を知ることで、他の業界の良さを見つけるかもしれません。逆に、最初の業界のよさを見つけることもあります。すると、志望動機がより強く書けますよね。できるだけ動いてチャンスを生かすことが大事です。
―実際にどう動けばいいんでしょうか?
身の回りの人の繋がりも有効活用すべきです。
僕の場合、サークルと研究室の先輩に興味がある会社を話したところ、社員さんを紹介してもらえました。「一緒にご飯たべさせてもらってもいいですか?」と言って話を訊かせてもらったんですが、働いている人の話ってとても為になります。
―就活生に向けて一言お願いします。
2つあります。1つは、「情報を鵜呑みにしない」ということ。もう1つは「縁について」です。
1つめについてですが、ネットや先輩・同期など情報源はたくさんあります。そこで鵜呑みにしてしまうと、偏見ができて、せっかくの可能性がつぶれてしまうこともあります。あくまで参考に留めることです。
―視野を広くもちながら、鵜呑みにしないというのは難しいことに思えます。
参考にするというのは、例えばAさんとBさんから真逆のことを言われたときに「Aさんを信じる」「Bさんを信じる」のどちらでもなく、「AさんとBさんの言うことを受け止めて、自分なりに考える」ということを指します。
就活って辛いことももちろんあるけど、考え方次第ではチャンスです。自分の可能性を、人からいわれた一言で安易に狭めて欲しくないんです。
―2つめの縁については?
落ちても縁がなかったと思って、次をがんばればいいです。
縁って探してみつかるものではなく、気付いたら見つかっていることですから。
今は今でしかないんです。何よりも今を大事にすれば、納得の行く結果になるとおもいます。
―素敵な言葉をありがとうございます。